電報マニュアル

正しい敬語の使い方|覚えておけば、電報を送るときにも困らない!

大切な人に言葉を贈るとき、気をつけたいのは正しい敬語を使うことです。適切な敬語を知っていれば、メールや手紙を書いたり、電報を打ったりするときにも迷うことがなくなります。
では、正しい敬語を使うためには何に注意すればよいのでしょうか。今回は、正しい敬語を使うために覚えておきたいポイントをご紹介します。

ポイント1:尊敬語・謙譲語・丁寧語を正しく使う

ポイント1:尊敬語・謙譲語・丁寧語を正しく使う敬語を正しく使うコツは、尊敬語・謙譲語・丁寧語の特徴を理解し、使い分けることです。敬語の種類や意味、表現の違いなどを覚えておきましょう。

尊敬語・謙譲語・丁寧語の違い

尊敬語は、目上の人に使います。相手の行動に敬意を示したいときに使う言葉です。
謙譲語は、尊敬語と同じく目上の人に使い、自分がへりくだることで相手を立てます。
丁寧語は、相手を選ばず、聞き手に敬意を示したいときに使います。普通語を丁寧に表現する言葉です。
いずれも、相手への敬意・尊重の気持ちを込めた言葉遣いであるという点が共通しています。

尊敬語

尊敬語は、主に下記のような言葉の変化をします。

【動詞】
言葉自体が変わるものや、「お(ご)~になる」という表現をするもの、「れる」「られる」が語尾につくものなどがあります。

・言葉自体が変わる例
「言う」→「おっしゃる」
「来る」→「おいでになる」「いらっしゃる」
「着る」→「お召しになる」

・「お(ご)~になる」の例
「読む」→「お読みになる」
「話す」→「お話しになる」
「執筆する」→「ご執筆になる」

・「れる」「られる」が語尾に付く例
「話す」→「話される」
「帰る」→「帰られる」

【形容詞・形容動詞】
形容詞や形容動詞には「お」や「ご」を付けて、敬意を表します。
「元気」→「お元気」
「美しい」→「お美しい」
「立派な」→「ご立派な」

【名詞】
相手の所有物に敬意を込めて、以下のように言葉が変化します。
「手紙」→「お手紙」
「相手の自宅」→「ご自宅」
「相手の会社」→「貴社」「御社」

謙譲語

謙譲語は、主に下記のような言葉の変化をします。

【動詞】
謙譲語になることで、言葉自体が変化したり、「お(ご)~する」「お(ご)~いただく」「お(ご)~申し上げる」などの形に変化したりします。

・言葉自体が変わる例
「行く」→「伺う」
「読む」→「拝読する」
「与える」→「差し上げる」

・「お(ご)~する」「お(ご)~いただく」「お(ご)~申し上げる」の例
「送る」→「お送りする」
「利用する」→「ご利用いただく」
「悔やむ」→「お悔やみ申し上げる」

【名詞】
「自宅」→「拙宅」
「自分の会社」→「弊社」「当社」

丁寧語

丁寧語では、語尾が「です」「ます」「ございます」に変化します。
「見る」→「見ます」
「思う」→「思います」
「忙しい」→「忙しいです」

ポイント2:「させていただきます」に気をつける

ポイント2:「させていただきます」に気をつけるビジネスシーンやお店でよく見聞きする言葉に「させていただく」があります。「する」よりも丁寧な表現になっていると思われがちですが、時には間違って使われていることも。使い方を誤っていないか確認しましょう。

「~させていただく」という言葉は、相手の許可を得た行為に使うのが正解です。その行為をすることで、自分が恩恵を受けるときに使います。
「させていただく」の正しい例文をご紹介します。

「視察には、わたくしもご一緒させていただきました。」

「ミーティングの開始時間を変更させていただきました。」
「プレゼンテーションの日程を調整させていただきました。」
「予定通り、本日の飲み会は出席させていただきます。」
「次回の会食に参加させていただきます。」

また、正しく聞こえても、聞き手からすると過剰に感じられる表現や間違った言い回しもあるので、注意しましょう。
例えば、下記のように自分がその行為から恩恵を受けていない場合に使用するのは正しくありません。

【誤った使い方の例】
「明日中にご連絡させていただきます。」
「ご予約の商品をお送りさせていただきました。」
「お荷物をお預かりさせていただきました。」

【正しい使い方の例】
「明日中にご連絡します。」
「ご予約の商品をお送りしました。」
「荷物をお預かりいたしました。」

「させていただく」を誤って使うと過剰に感じられ、かえって相手に失礼な印象を与えてしまうおそれがあります。たとえば、取引先や会社の上司、先輩などに対し「資料を拝見させていただきました。」「メールを拝見させていただきました。」などの言葉を使うのも、過剰な表現です。
この場合、「資料を拝見しました。」「メールを拝見いたしました。」と表現します。

ポイント3:よくある間違いを知っておく

ポイント3:よくある間違いを知っておく日常生活では間違った敬語が使われていたり、浸透していたりすることが少なくありません。正しい敬語をマスターするために、よくある間違いを確認しておきましょう。

目上の人に使うのは失礼にあたるフレーズ

会社の上司や取引先、恩師など、目上の人に使うと失礼にあたるフレーズをご紹介します。

・お世話様です。
正しい例:お世話になっております。
NG理由:「お世話様です」という言葉は、自分に何かをしてくれた人に対して「ご苦労様」という意味合いで使います。

・しばらくぶりです。お久しぶりです。
正しい例:ご無沙汰しております。
NG理由:「お久しぶりです」は、友人や知人などへ向けて使われるのが一般的です。目上の人へは、「ご無沙汰しております」という言葉を使うのがベターです。

・大変参考になりました。
正しい例:大変勉強になりました。
NG理由:「参考になった」という言葉は、目上の人が目下の人に向けて使います。
例えば上司や先輩から仕事を教わってお礼を述べるときは、「参考」ではなく「勉強」という表現が適切です。

・社長がおられます。
正しい例:社長がいらっしゃいます。
NG理由:「おる」は謙譲語なので、自分よりも立場が上の社長に対して使うのは不適切です。この場合、尊敬語の「いらっしゃる」が適切です。
「おる」の使い方は、例えば「あなたは今日、何時まで会社にいますか」と尋ねられたときに「19時までおります」というように使います。

・ご苦労様です。
正しい例:お疲れ様です。
NG理由:「ご苦労様」は、上司や先生の目上の人が、部下や生徒などの目下の人をねぎらうときに使います。目上の人には、「お疲れ様」が正解です。

二重敬語になっているフレーズ

敬語は本来、一つの単語に対して一つ使用すれば十分です。
下記のように敬語が重なり、二重敬語になっていないかを確認しておきましょう。

・先生はおっしゃられました。
正しい例:先生はおっしゃいました。
NG理由:「おっしゃる」+「られる」で二重敬語になっています。すでに「おっしゃる」という尊敬語を使用しているため、「おっしゃいました」が適切です。

・社長様
正しい例:社長
NG理由:社長や部長へメール・手紙を送る場合、「○○社長様」「○○部長様」などとするケースが見られますが、役職名自体が敬称のため、「様」をつけると二重敬語になります。
例えば社長宛てに電報を送る場合の敬称は、「○○社長」もしくは「社長 ○○様」としましょう。

・各位様
正しい例:各位
「各位」という言葉が「みなさま」という意味を表すため、「様」をつけるのは間違った日本語です。
「関係者各位」「お客様各位」などと使います。

・ご覧になられる。
正しい例:ご覧になる。
NG理由:「ご覧」と「なられる」で二重敬語になっています。
「商品をご覧になられますか?」ではなく、「商品をご覧になりますか?」が適切です。

実は誤りのフレーズ

一般的によく耳にするけれど、実は誤っているフレーズをご紹介します。

・お体ご自愛ください。
正しい例:ご自愛ください。
どうかご自愛ください。
NG理由:「自愛」には「体を大切にする」という意味が含まれています。「ご自愛ください」が正しい使い方です。

・お名前を頂戴できますか?
正しい例:お名前を伺えますか。
お名前を伺ってもよろしいでしょうか。
NG理由:「頂戴する」は「もらう」の謙譲語ですが、目上の人から物などをもらうときに使う言葉です。そのため、ビジネスの場面では、名刺を受け取るときに「お名刺頂戴できますか?」などと使うのが適切です。
電話対応などで名前を尋ねる際は、聞き手に対し「聞く」の謙譲語である「伺う」を使います。

・どうぞお座りください。
正しい例:どうぞお掛けください。
NG理由:「座る」の尊敬語を使用しているため、敬語として間違いではないものの、ペットへの「おすわり」を想起させるなど、印象面からビジネスマナーとしては適切ではないとされています。
例えば取引先の人が来社したときにイスをすすめる際は、「どうぞお掛けください」という表現を使います。

相手やシーンに合わせてふさわしい敬語を使おう!

相手やシーンに合わせてふさわしい敬語を使おう!正しい敬語は、相手に丁寧で上品な印象を与えます。半面、間違った敬語や過剰な敬語は相手に違和感を持たれたり、失礼にあたったりすることもあります。日常生活の言葉遣いはもちろんのこと、手紙や電報などで文章を書くときは特に、正しい敬語を使うことを心がけましょう。